公共施設・インフラ老朽化,各種報告書

 高度成長期に集中的に整備された公共施設・インフラが老朽化して一斉に更新時期を迎えつつある中、これらを現状のまま維持し続けることは困難であることが懸念されており、各自治体において「公共施設等総合管理計画」「個別施設計画」に基づき公共施設マネジメントの取組が進められていますが、厳しい財政事情や住民との合意形成等の難しい課題に直面しています。
 これらの課題の解決や実効性のある取組の推進を目的として、様々な公共施設マネジメントの取組に関する調査・考察や、普及啓発・情報共有のための活動等による研究を行いました。
 このたび、活動の内容を取りまとめた報告書を発行しました。会員の皆様には近日発送予定です。

-報告書目次-
 はじめに

 第1章 公共施設等の老朽化問題と公共施設マネジメント
 1 公共施設等を取り巻く状況
 2 今後の公共施設等の更新費用の見通し

 第2章 公共施設マネジメントの課題
 1 県内自治体へのヒアリングの実施
 2 ヒアリングにより抽出した課題

 第3章 三重県地方自治研究センターでの取組
 1 講演セミナーの実施
 2 その他の取組(三重県内の廃校施設利活用事例調査)
 3 まとめ

 おわりに

 参考文献・資料

地方分権

 2022年1月18日に愛知県大府市、1月24日に愛媛県砥部町へオンラインヒアリング視察を実施しました。ヒアリング視察では、地方分権改革における提案募集方式への取組についてお話を伺いました。
 提案募集方式とは、地方自治体から国に対して事務権限の委譲や地方に対する規制緩和についての提案を行う制度です。大府市と砥部町は、全国の自治体の中でも提案募集方式を継続的に活用している実績がある自治体であることから、今回、取組内容等についてお話をいただきました。

 大府市では、職員の基本姿勢として、独自性、先駆性、付加価値性の視点を持ち、前例にとらわれない発想による政策立案や日々の業務改善に取組んでいるとのことで、市の新事業を推進する際に国の制度が支障になったという経験をきっかけに、市長のリーダーシップにより市民に身近な基礎自治体である市ができることを実施していくための手段の一つとして提案募集方式を活用しているとお話いただきました。
 取組内容としては、まず内閣府職員が講師を務める研修を実施することで制度周知を行い、その後、全庁的に積極的な事前相談を行い最初の提案に繋げていったとのことです。また、提案募集方式を取りまとめている企画広報課では、毎年度5つ以上事前相談を行うことを目標に設定し、各課への案件照会やとりまとめ、職員からの提案募集方式に関する簡単な相談を受け付けること等実施し、担当職員も実際に提案募集方式に取組むことで制度の理解を深める取組みも行っているとのことです。また、提案の成功体験を職員間で共有し、提案に対する気持ちのハードルを下げることや提案の意識の浸透を目的として、取組成功体験を発表する場も設けていること等お話いただきました。

 砥部町では、少しでも業務を効率化し職員の負担を軽くしたいとの思いで提案募集方式に取組まれています。提案募集方式に取組むことになったきっかけとしては、愛媛県が主催した内閣府職員が講師を務める研修に参加したことを挙げており、研修では、提案内容を検討するグループワークを行ったとのことです。研修後は実際に内閣府へ事前相談を行い、結果として事前相談した提案の中から2件本提案を行うことができたとお話いただきました。
 取組としては、2年に1回のペースで同様の研修を行うこととしており、研修を実施することで職員への制度周知が進み、また研修のグループワークにより提案のタネを発見することに繋がるとのことです。また、研修前に事前課題として、普段の業務で感じる「不便」や「こうなったら仕事がもっと楽になるのに」と感じることを書きだしてもらうことで研修当日のグループワークがより効果的になるとお話いただきました。
 提案を活用していくためのアドバイスとしては、提案の内容は日頃のちょっとした「不便」や「不満」の中から見つかることが多いため、「不便」「不満」を提案に繋げるためにとりあえず現状にどのような課題があるかを考えてみることが大切であるということる等お話をいただきました。
 
 今回ヒアリングを実施して、両自治体共に内閣府職員が講師を務める研修を受講したことが提案募集方式に取組むことになったきっかけや取組事項に挙げられていたので、その研修を受講することが提案募集方式に取組む上で重要であるように感じました。また、両自治体共に内閣府職員へ事前相談することは思っているほどハードルが高くなく、提案内容の完成度が高くなくとも事前相談をすることで内閣府職員が一緒に考えてくれて完成度が高まっていくので、積極的に事前相談を行うことが大切であるとお話いただいたことが印象的でした。国の職員とやり取りする上で、提案内容がきっちり整った上で話をしなければいけないと思ってしまいますが、提案の内容が荒い状態でも一緒になって考えてくれるという内閣府職員の姿勢を提案経験者の声として聴くことができたことが、事前相談を行うことのハードルをより一層低くしてくれたように感じました。今回のオンラインヒアリング視察で得られた知見等を活かして、これからの研究活動に繋げていきたいと思います。
 ご協力をいただきました大府市、砥部町の職員の皆様、お忙しいところご対応をいただき誠にありがとうございました。
 また、今回の視察テーマである提案募集方式についてより詳しく学ばれたい方は、内閣府ホームページのリンクを掲載しましたので下記の「内閣府HPへのリンク 地方分権改革-内閣府」をクリックしてご覧ください。
内閣府HPへのリンク 地方分権改革 – 内閣府

オンラインヒアリング視察の様子
提案募集方式の概要(内閣府作成動画「あなたの声で日本の法律・制度が変わる!~地域の課題を提案募集方式で解決してみよう~(令和3年4月公開)」内で使用するスライド11ページ目より引用gakushu_slide_2.pdf (cao.go.jp))

公共施設・インフラ老朽化,セミナー 講演会 シンポジウム

 2021年11月5日(金)、三重地方自治労働文化センター4階大会議室において、三重県地方自治研究センター研究セミナーを開催しました。公共施設・インフラ老朽化問題と公共施設マネジメントの取組の課題をテーマとした本セミナーでは、名古屋大学 大学院環境学研究科 教授 小松  尚 氏を講師にお迎えし、「ポストコロナで求められる公共施設マネジメントの進め方」と題したご講演をいただきました。

 小松教授からは、老朽化した公共施設が今後一斉に更新時期を迎える中で、人口減少・少子高齢化に伴い担い手と財源が否応なく減少していくという状況において、これまでと同じ規模や数の公共施設を再整備することは困難であり、従来の施設整備の発想ではなく、地域の複数の課題を掛け合わせて解決していくという発想で公共施設の在り方を考えていく必要があること等についてご説明とご考察をいただきました。
 さらに、亀山市や松阪市等の三重県内の自治体を中心に小松教授がこれまで関わられてきた公共施設再編の事例を、具体的な取組内容や資料、実際の写真等を交えながらご紹介いただいたほか、「やる気になる魅力的なモデル」づくりの重要性、身近な成功モデルの活用、コロナ後の公共施設の役割等、様々な観点から多くのご提言をいただきました。