その他

平成23年7月8日に開催した第5回の研究テーマは「更新投資の分析」でした。

高度経済成長期に集中的に整備してきた橋梁や道路、上下水道などのインフラを含む公共施設は、建設後数十年が経過し、維持管理費や修繕費、建て替えに要する更新費用の確保が難しくなっています。その点を県内の自治体では、どのように考えているのか事前のアンケート調査に基づきディスカッションを行ないました。

全国的には首都圏の自治体を中心に、維持管理費用などを記した施設白書を作成・公開し、今後の公共施設のあり方を住民に問い掛ける傾向にあります。

 

 県内でも四日市市が公会計の導入に合わせて「公共施設マネジメント白書」の作成に着手し、本年度末の公開に向けて作業を行なっているとのこと。また伊賀市においても、市内の全施設を対象に「施設カルテ」の作成に取り組んでいます。

総務省も更新費用の算定ソフトを作成し各自治体に頒布するなど、国の動向も見過ごすことが出来ません。

 

続いて、11月2日に行なわれた第6回の研究会は『地方交付税算定の現状と課題』という題目で研究会座長の飛田博史氏にご講義いただきました。

飛田氏の報告によると、近年の地方交付税の状況はリーマンショック以降、都市部を中心に不交付団体が激減し、三大都市圏への配分が増加しています。その結果、地方への配分が抑制されているとのことです。

また、交付税の算定基礎となる自治体の規模を表す“基準財政需要額”には、地域性を考慮して補正係数を用いられていますが、2000年以降一貫して補正係数が減少しています。このことは、全国平均的な財源保障という国の方向性が考えられ、自治体間の財政力格差を拡大させる恐れがあります。

 

先生から提供された資料によると、来年度に行なわれる3年毎の固定資産税の評価替えにより、全国で4000億円の減少するとの試算結果が出ています。震災の影響や、長引く景気低迷で新築建物が減っていることが原因であり、県内自治体への影響は少ないものと考えますが、今後、注意深く見守る必要があります。