9月13~14日、東京で行なわれた第26回・自治総研セミナーに参加しました。
セミナーに先立ち、自治総研の辻山所長による挨拶は「3.11以降、日本という国のあり方を問い直す時期がきた」「今、国や自治体、住民に何が出来るのかを考えるべきで、戦後日本を支えてきた成長モデルを見直す必要がある」「今回のセミナーは皆さんと語り合っていただくために企画した」と述べ、セミナーが有意義なものになることを期待しました。
まず、北海道大学大学院・山口二郎教授により『私たちはどんな政治をつくり出すべきか』をテーマに講演が行なわれ「現代の日本社会は個人の政治主導力に過剰に期待する傾向にあり、一度の政権交代で全ての問題が片付くと考えることは非現実的な理想である」と述べ、住民が主体の相互扶助のコミュニティを国全体で作っていくことが民主主義の強化に繋がると説いています。
引き続き行なわれた法政大学・杉田敦教授による『3.11以降のデモクラシー』と題した講演では「東日本大震災を受けて何かが始まったとか、何かが終わったというのは間違いで、これまでに存在していた危機などが表面化し、一層深まったといえる」「多くの政治的な問題を解決するために自治研などのシンクタンクを活用する」「住民が他人事ではなく自分事として意識を持つきっかけとしての国民投票には意義がある」と様々な側面から政治的な課題を克服することの必要性を述べました。
二日目は、NPO森づくりフォーラム代表理事で立教大学大学院の内山節教授により『地域の復興・再生とコミュニティ』をテーマに講演が行なわれ「今までの地方都市は東京を見本にグランドデザインを作ってきたが、東京ほどの経済成長が実現できずに経済の空洞化を招く結果となった」「本来のグランドデザインは具体的な計画の前にどのような思想で地域を作っていくのかが重要で、この思想の部分こそが本来のグランドデザインである」「震災の被災地も、住んでいる人々が今後どのような町を作っていくのか。始めにインフラをどの場所に作るかではなく、思想のもとで議論し具体化するべきである」と地域の再興にはコミュニティの存在が欠かせないと語っていました。