人材確保と定着,研究活動,各種報告書

 本センターでは、人口減少時代における地方自治体の持続的な行政運営を見据え、「人材確保と職員定着」に関する調査研究を実施しました。本研究は、県内自治体の協力のもと研究会を立ち上げ、実務的な視点から課題の整理と検討を行ったものです。採用環境の変化や職員意識に関するアンケート結果を踏まえ、職員のやりがいや組織への愛着を「エンゲージメント」として捉え、その構造を分析しています。そのうえで、人材確保と職員定着を一体的かつ連続的な取組として整理し、実務に活用可能な施策の方向性を提示しました。
 本報告書は、自治体における人材戦略の検討に資する資料として活用されることを期待するものです。なお、会員の皆様には4月末ごろに順次発送いたします。

-報告書目次-
はじめに
人口減少時代における地方自治体の人材確保と定着研究会について
1.研究の目的
2.研究会の構成
3.座長プロフィール
4.研究会の活動内容
第1章 地方公務員の採用・離職の現状
1.地方公務員数の推移について
2.地方公務員受験者数及び合格者数の推移について
3.地方公務員の離職状況の推移について
4.三重県内の自治体の状況について
5.国の動向
第2章 県内自治体職員アンケートについて
1.県内自治体職員アンケートの実施について
2.アンケートの目的について
3.アンケートの設問について
4.アンケート結果について
第3章 アンケート結果から見える傾向について
1.勤続年数別にみたやりがい・愛着の推移
2.やりがいを規定する要因構造の分析
3.エンゲージメントの三層構造と施策設計の方向性
4.人材確保の視点から見た課題と方向性
第4章 人材定着について
1.人材定着施策の整理と基本的視点
2.定着パッケージの構築と具体的施策
3.三層構造と時間軸を統合した定着システムの運用
第5章 人材確保について
1.人材確保施策の整理と基本的視点
2.確保パッケージの構築と具体的施策
3.確保施策の構造的整理
4.先行・類似事例
第6章 まとめ
1.人口減少時代における地方自治体の人材確保と定着
おわりに
巻末資料

人材確保と定着,セミナー 講演会 シンポジウム

 2025年11月19日(水)、三重県総合文化センター多目的ホールにて、2025年三重県地方自治研究集会を開催しました。
 本集会のテーマは「人材確保のための働きがいのある職場づくり~仕事の魅力について考える~」です。
 最初に主催者である自治労三重県本部 原田中央執行委員長から、「自治研活動は、地方行政や公共サービスのあり方を組合自らが研究・実践する重要な取り組みである。しかし近年、少子高齢化に伴う人手不足や受験者減、早期退職の増加により公務職場の欠員が深刻化し、通常業務に追われる状況が続いている。安定した行政運営と質の高い公共サービスの維持には人材確保が不可欠であり、県本部では労使交渉による環境改善とあわせ、自治研活動を通じた人材確保の研究にも取り組んでいる。今回の集会が活動活性化の契機となることを期待している。」との挨拶をいただきました。

 研究発表に先立ち、九州大学大学院法学研究院教授 嶋田暁文氏より『自治体職員の自己成長・自己実現と公務のやりがい ~自治体と職員に求められることと、自治研活動の有用性~』のテーマで基調講演をいただきました。
 「自治体では若手職員の自己都合退職や志望者減少が深刻化しており、その背景には自己成長・自己実現の機会不足がある。入庁前後の成長支援、柔軟な働き方、人事制度改善など職場環境の改革が求められる一方、職員自身の意識変革も重要である。こうした課題に対し、自治研活動は成長機会の提供や組織改善の提言などの役割を果たし、職員の成長とやりがいにつながる。」という職場・職員双方の変革を必要とすることや変革の一助として自治研活動が有効であることを実例を交えてわかりやすく説明いただきました。

 午後からは、当センター主任研究員・畑が、県内自治体の協力のもと当センターが設立した『人口減少時代における地方自治体の人材確保と定着』研究会を代表し、同テーマについての中間研究報告を行いました。地方公務員の現状や受験者・離職者の推移、これらを踏まえた国の施策を解説するとともに、県内自治体職員を対象とした仕事のやりがいおよび職場への愛着に関するアンケート結果を基に、エンゲージメント向上に向けた方針を示しました。

 また、地方自治に関する課題解決を考えるために自治労三重県本部が中心となり結成された2つのワーキンググループによる報告も行われました。
 『各種選挙における投票率の向上について』をテーマとしたワーキンググループからは、高等学校・大学の生徒およびその親世代にアンケートを実施した結果、親子連れ投票の経験が将来の投票行動に影響することが確認され、投票環境の利便性向上や主権者教育の充実、家庭での政治学習の促進が若年層の投票率向上に有効であり、実施後の効果検証や関係機関の連携も重要であることが報告されました。
 『地方公務員の人材確保』をテーマとしたワーキンググループからは県内自治体の職員確保のためのPR戦略について各自治体にアンケートを行ったうえで、「採用試験における対策」として川崎市で行われている職場見学会についての有効性、「働き方改革」として県内自治体でも導入が進んでいる開庁時間の短縮が業務や職員に与える好影響についてそれぞれ報告されました。

 続いて、本集会に向けて県内自治体の3つの職員組合等より寄せられた自治研自主レポートの表彰が行われました。

【最優秀賞】松阪市職員組合  『松阪駅周辺商店街散策フィールドワークの実施』
【奨励賞】 三重県職員労働組合『三重県職員の離職増加や採用試験における受験者数の減少にかかる原因分析とその対策』
【奨励賞】 熊野市職員労働組合『熊野市役所におけるDXと生成AIの導入・活用状況について』


 最優秀賞に選ばれた松阪市職員組合からは、『松阪駅周辺商店街散策フィールドワークの実施』をテーマとしたレポートが発表されました。フィールドワークを通じて商店街の魅力と課題を整理し、特産品マーケットやオンライン発信などを提案。さらに職員アプリとの連携による継続的支援も開始し、地域課題の理解と職員間の連携、施策への活用を目指す取り組みが報告されました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

人材確保と定着

 三重県地方自治研究センターでは、この度「人口減少時代における地方自治体の人材確保と定着研究会」を設置しました。
 本研究会では、四日市大学 総合政策学部特任准教授 吉川和挟様を座長に迎え、研究会メンバー(津市、四日市市、名張市、伊勢市、志摩市、明和町、大紀町、紀北町、オブザーバー:三重県)と、減少傾向にある公務員受験者や増加傾向にある公務員離職者について、改善を図るための対策や手法について研究を進めていきます。
 第1回研究会(9月30日開催)では、総務省が2023年12月に公表した「人材育成・確保基本方針策定指針」の内容や国内全体での傾向及び県内自治体の状況を共有し、その後、それぞれの自治体が抱える課題について議論を行いました。
 今後は、今回の議論等を踏まえて引き続き研究活動に取り組んでいきたいと思います。