セミナー 講演会 シンポジウム

2018年1月15日(月) 「2017年度三重県地方自治研究センター 働き方改革講演会」を開催いたしました。
はじめに、当センター理事長 岡本博より挨拶をさせていただきました。
「ブータンという国には、『皆が幸せであることを祈ること』が自分の幸せであると答える人がいます。決して豊かな国ではないのです。幸せとは、人の考え方によります。働き方改革は働く事と自分の生活、何を大切にするのか、考え方、バランスだと思います。働き方が変わっていく事で、自分の生活も豊かに変わるのだと思うのです。」

その後、自治労三重県本部 原田書長から労働組合の立場から働き方改革についてお話しいただきました。

「労働組合は、業務の効率化やノー残業デイの設定など、労働時間の縮減に向けて取り組みを行ってきました。2015年に電通の職員が過労死の認定を受けた事件を契機に、社会全体で働き方改革を進める必要性が意識され始めたと思います。2017年、政府は「働き方改革実行計画」を策定しました。今出ている働き方改革の制度をみていると、『労働者のための働き方改革』ではなく、『経営者のための働かせ方改革』になっているのではないかと感じています。今日のお話を聴いて、本当に働く人のための改革となるよう、それぞれの立場で取り組んでいただければと思います。」

講師
・柴田 佐織 氏(株式会社エムワン 人事部課長、株式会社CREA 代表取締役)
・米山 哲司 氏(特定非営利活動法人Mブリッジ 代表理事)
参加者
・39名

柴田さんからは、中小企業の経営戦略としての働き方改革についてご講話頂きました。ご自身が取り組んだ業務改善について。その苦労や報われた経験などお話しいただきました。
アンケート調査や社員との対話から、部下が意見を言わない訳を「言っても無駄」「常に否定されると思うから」だと感じたそうです。そこで対話を行い、「助けてと言える風土」「気兼ねなく休みを取得できる風土」を目指しました。共有と共感の場創りが必要でした。
働き方改革が上手くいったコツを、対話から信頼関係を築くことができ、幸せな職員が増えることで改革が加速したことを示してくれました。
 最後に、理想の働き方の実現には、相互理解とコミュニケーションが不可欠であり、社員との対話を重視することが近道であるとまとめがありました。

米山さんからは、行政職員として働き方改革をどうとらえるか、という視点からご講話頂きました。
「働き方(ワークキャリア)」には「売り手よし・買い手よし・世間よし」の三方よしの考え方が必要です。「儲からないからしなくていい」と考え、「世間よし」(CSR)の心を置き去りにすると、大切なものが置き去りになるのではないかと感じているそうです。
「暮らし方(ライフキャリア)」は「社会・家族・自分」であるとすると、課題解決(社会)と自己実現(自分)が結びつくことで、もっとまちは元気になって人材育成にも繋がるのではないか。課題解決は、ソーシャルビジネスや市民活動など、郷土愛である。ワークの質はライフの質からであり、「自分」を置き去りにしてはいけないと。
さて、米山さんからの問いかけです。「嫌な気持になった時を思い出してください」。それは「コミュニケーションが原因ではないですか?」 
職場の改革に、もう少し丁寧なコミュニケーションの必要性を指摘し、講話を締めていただきました。

セミナー 講演会 シンポジウム

会員各位

― 三重県地方自治研究センター「働き方改革講演会」 ―

民間企業での取り組みを知る機会として、働きやすい三重県を考える機会として下記のとおり講演会を開催いたします。
一人ひとりが考え、行動することで職場の風土をより良いもの変えるきっかけとなればと思っています。是非ご参加くださいますようご案内いたします。

■日 時:2018年1月15日(月) 13:00~16:45(受付 12:30~)
■講 師:
・柴田 佐織 氏(株式会社エムワン 人事部課長、株式会社CREA 代表取締役)
・米山 哲司 氏(特定非営利活動法人Mブリッジ 代表理事)
■場 所:三重地方自治労働文化センター 4階大会議室(津市栄町2丁目361番地)
■対象者:三重県内市町職員 三重県地方自治研究センター会員 等
■参加料:無料
■主 催:三重県地方自治研究センター

働き方改革講演会 参加申込書

セミナー 講演会 シンポジウム,空き家問題

2017年12月7日(木)、三重地方自治労働文化センター4階 大会議室において、
「第1回 空き家問題をまちづくりから考える講演会」を開催しました。

自治体担当職員をはじめ、多数の方がご参加くださいました。

はじめに、特定非営利活動法人 尾道空き家再生プロジェクト 代表理事 豊田 雅子 氏 より
「尾道空き家再生術」と題した、ご講演をいただきました。
豊田氏が立ち上げた同プロジェクトでは、再生した空き家を使用し、空き家に関する情報交換等を行う「尾道空き家談義」を開催したり、歴史的な街並みを残す尾道で、尾道の建築の魅了再発見と再生現場への参加ワークショップ等を行っている「尾道建築塾」を開催したりと様々な活動を行っており、空き家再生を通じて人と人との繋がり、地域との繋がりを強く感じる内容でした。

つづいて、三重大学大学院 工学研究科 建築学専攻 准教授 浅野 聡 氏より
「成長する未来を描く近代都市計画の行き詰まりと新展開 -まちづくりの潮流から考える空き家問題-」と題した、ご講演をいただきました。
浅野先生からは、現在、各市町が取り組んでいる空き家対策が、目の前の問題への対処療法になっていないか。空き家は今後加速度的に増え続けていく中で、短期的だけではなく、10年20年先を見据えた中長期的な対策もセットにして考えていくべきであるとありました。
また、まちづくり・都市計画から空き家問題を考えると、活用価値の高い住宅(立地の良さ、地域風土に合っている伝統的木造建築など)は、除却せずに活用する仕組みをつくる、空き家の全体数を見ると活用の難しい住宅の方が多いのが現実であり、放置せず適切に除却できる仕組みをつくる、これからは過剰な住宅供給・市街地化拡大をとめて、縮減社会を前提に中長期的に市民が暮らしやすいコンパクトなまちへ時間をかけて再編成していくことが大事であるとのお話がありました。

尾道空き家再生プロジェクトのように、地域で活動されている団体の取組みが、空き家の再生に限らず人と人との繋がりからコミュニティの場ができて、地域が活性化していくこと。各自治体において地域の実情に応じた空き家対策計画が策定されてきていますが、福祉や教育等も考えた総合的な施策で対応していくこと。
ご講演いただいた内容は、空き家問題だけでなく、地域の取組み、施策のあり方など自治体として大いに考えさせられる内容であったのではないかと感じました。

(主任研究員 大川)