その他

2018年2月8日(木) フューチャーセンターの視察を行いました。

名城大学「社会連携ゾーンshake」は、受付もなく誰もがふらっと入れる施設でした。人が集まる場を創出するために必要な配慮であると思います。
設置目的は、ホームページによると「地域コミュニティ、企業、大学などの交流・活動拠点として、在学生、卒業生、教職員だけでなく、地域、行政、企業など多様な人々が年齢や職業を超えてフラットに交流することで、集・学・創が共有できるもう1つの学びの場を目指しています。」(https://www.meijo-u.ac.jp/social/shake/)としています。
設備もすぐに対話へと導くものがそろっています。机の天板がホワイトボードになっており、直接書き込むことができます。30個のブロックを椅子にし、空間を自由にアレンジできます。この日は、3組が打ち合わせやワークショップを行っていました。
定期的に「名古屋フューチャーセンター」の事業が行われるそうで、企業の勉強会も行われます。施設の工夫もありますが、有効に活用されていることが素晴らしく、「多様性のある人が集まる空間」であり、イノベーションの期待が持てる施設でした。

次に、株式会社岡村製作所の「オープン イノベーション ビオトープ Cue(キュー)」を訪れました。岡村製作所はオフィス家具のメーカーであり、企業がフューチャーセンターを活用する意義を知るための訪問です。
設置目的をホームページでは、「社内外のステークホルダーの方々とこれからの「はたらく」を共創し、その知見を「ものづくりの地」である名古屋から発信していくことを目的として、定期的にイベントを開催します。新たな働き方をさまざまな分野の方々と共創し、社会へ発信していきます。」(http://workmill.jp/cue/)としています。
お客様の声を聞くなかで、「ツナガリ」がキーワードとしてあがったそうです。そこで共創空間のひとつとして「Cue」を設置したそうです。これは、即時利益に繋がる仕組みではありません。しかし、「ツナガリ」「シゲキ」「ヒラメキ」を大切に考え、社内外で活用されています。
「新しい発想と取り入れる」という感覚でも「即時利益に繋がる仕組みでなければならない」といった発想でもなく、「必要だから設置している」という考え方でした。企業型フューチャーセンターにはクローズのものも多く、情報を集めることは困難な場合があります。岡村製作所のような、一般の人も加わることができるフューチャーセンターの活用事例を、もう少し検証する必要がありそうです。

人が集まり、自由に対話ができ、それを促す「場」として考えられた施設は有効です。しかし、コストがかかるのも事実であり、三重県では「新たに作る」というより、まずは「今ある場に加える」といった考え方が必要だと思います。大切なのは施設そのものではなく、そこで何をするかであり、まず、人が集まることを考える事が肝要だと感じます。
「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」では、施設についてや設置場所、どこに人が集まっているかの調査は行っていませんが、研究会とは別視点での調査として有効であると思います。

(主任研究員 栗田)

その他

「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」では、鳥羽市議会「TOBAミライトーク」の仕組みがフューチャーセンターの考え方に近いため、事例検証として記録を取らせていただきました。皇學館大学の池山敦助教(「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」研究会座長)と共に、2017年4月から約半年同行させていただきました。

結果、TOBAミライトークは、広聴の仕組みとして非常に素晴らしく、議会がフューチャーセンターの要素を取り入れることは極めて有効であることが分かってきました。

「早稲田大学マニフェスト研究所議会改革度調査2016」によると、議会報告会の充実のための仕組みにグループワークを取り入れている議会は13%です。また、外部サポート体制の有無について聞いた質問では92%がなしと回答しています。今回の事業は、議会と大学、当センターのような研究機関が連携した記録になり、外部との連携がみられたといえます。

2018年2月9日(金)、当センター理事長と鳥羽市議会を訪れ、議長、広報広聴委員長に、TOBAミライトークの記録と評価の報告をさせていただくと共にお礼申し上げました。
半年間、フューチャーセンターの可能性について学ぶべきことが非常に多かったです。TOBAミライトークには、鳥羽市の明るい未来を感じます。ぜひ継続していただければと願います。鳥羽市議会の皆さま、半年間、様々な面でご協力いただきありがとうございました。

(主任研究員 栗田)

セミナー 講演会 シンポジウム,その他

2018年1月19日(金)「公契約条例制定をめざす推進協議会」主催の「公契約条例に関する学習会 ―先進市に学ぶ公契約条例―」に参加しました。三重県内での公契約条例は、四日市市公契約条例(平成26年10月6日)に続き、津市が制定をめざしています。

講師の多摩市役所総務部総務契約課 森課長から制定までの歩みと概要についてお話しいただきました。
まず、公契約条例の意義は賃金など労働環境を確保することで、『労働者の生活と安全』『事業者の適正な競争による経営の安定』『市民の安全かつ良質なサービスの享受』を守ることにあります。
多摩市では2010年に調査検討委員会を副市長、部長級で構成し、検討部会には労働組合からも参加しており、労使連携が図られていました。外部に審査委員会を設置し、弁護士や労働者団体、事業者代表が参加しています。
2016年のアンケート調査で、事業者の「公契約条例に対する理解度」は95%であり、「適正な労働条件の確保・労働者の生活の安定に結びつく成果」に「成果があった」「今後あると考える」との回答が67%でした。
多摩市職員全員が公契約条例の意義について理解し、事業主が担当課と意見交換する機会を持ち、外部からの参加者で審査委員会を設置していることで、住民を含めた自治体全体で意識を高めていったことが、良い条例の制定に繋がっていると思います。

「多様性のある対話」から始め、全員で考えていくことが必要であり、政策立案までの過程が評価される自治体であってほしいと思います。
そして、自治体が「対話」を望むとき、フューチャーセンターのような仕組みはやはり必要なのだと感じます。

(主任研究員 栗田)