2017年12月7日(木)、三重地方自治労働文化センター4階 大会議室において、
「第1回 空き家問題をまちづくりから考える講演会」を開催しました。
自治体担当職員をはじめ、多数の方がご参加くださいました。
はじめに、特定非営利活動法人 尾道空き家再生プロジェクト 代表理事 豊田 雅子 氏 より
「尾道空き家再生術」と題した、ご講演をいただきました。
豊田氏が立ち上げた同プロジェクトでは、再生した空き家を使用し、空き家に関する情報交換等を行う「尾道空き家談義」を開催したり、歴史的な街並みを残す尾道で、尾道の建築の魅了再発見と再生現場への参加ワークショップ等を行っている「尾道建築塾」を開催したりと様々な活動を行っており、空き家再生を通じて人と人との繋がり、地域との繋がりを強く感じる内容でした。
つづいて、三重大学大学院 工学研究科 建築学専攻 准教授 浅野 聡 氏より
「成長する未来を描く近代都市計画の行き詰まりと新展開 -まちづくりの潮流から考える空き家問題-」と題した、ご講演をいただきました。
浅野先生からは、現在、各市町が取り組んでいる空き家対策が、目の前の問題への対処療法になっていないか。空き家は今後加速度的に増え続けていく中で、短期的だけではなく、10年20年先を見据えた中長期的な対策もセットにして考えていくべきであるとありました。
また、まちづくり・都市計画から空き家問題を考えると、活用価値の高い住宅(立地の良さ、地域風土に合っている伝統的木造建築など)は、除却せずに活用する仕組みをつくる、空き家の全体数を見ると活用の難しい住宅の方が多いのが現実であり、放置せず適切に除却できる仕組みをつくる、これからは過剰な住宅供給・市街地化拡大をとめて、縮減社会を前提に中長期的に市民が暮らしやすいコンパクトなまちへ時間をかけて再編成していくことが大事であるとのお話がありました。
尾道空き家再生プロジェクトのように、地域で活動されている団体の取組みが、空き家の再生に限らず人と人との繋がりからコミュニティの場ができて、地域が活性化していくこと。各自治体において地域の実情に応じた空き家対策計画が策定されてきていますが、福祉や教育等も考えた総合的な施策で対応していくこと。
ご講演いただいた内容は、空き家問題だけでなく、地域の取組み、施策のあり方など自治体として大いに考えさせられる内容であったのではないかと感じました。
(主任研究員 大川)