未分類,フューチャーセンター研究,各種報告書

『フューチャーセンターの社会実装に関する研究 報告書』を発刊しました。

当センターでは、多様性に配慮し、三者による共同研究会議を設置し、研究活動を行ってまいりました。
この度、多くの方々のご協力のもと、報告書を発刊することができました。ご一読いただければ幸いです。

フューチャーセンターの社会実装に関する研究 報告書

■共同研究会義
・皇學館大学 教育開発センター 助教 池山 敦 様 (座長)
・特定非営利活動法人Mブリッジ 代表理事 米山 哲司 様
・三重県地方自治研究センター

■研究会
・三重テレビ放送株式会社 取締役副社長 真伏 秀樹 様
・株式会社百五銀行 経営企画部 働き方改革推進室 室長 津田 真寿美 様
・井村屋株式会社内部統制・BCP室 課長 高木 俊雄 様
・三重交通株式会社 人事部労務課 主事 多喜 智哉 様
・三重県戦略企画部企画課 課長 安井 晃 様
・三重県教育文化研究所 所長 西井 達子 様

(2018年3月現在)

 

「フューチャーセンター」とは何か?なぜ必要か?簡単に説明するのは少し難しいです。報告内容をまとめた『リーフレット』も参考にしていただければと思います。
さて、「群盲象を評す」というインドの発祥の寓話はご存知でしょうか?

出典: ジョン・ゴドフリー・サックス 1872年 『The Blind Men and the Elephant』

アメリカの詩人ジョン・ゴドフリー・サックスが1872年に発表した詩 “The Blind Men and the Elephant"(『盲人たちと象』) に描かれた挿絵です。
盲目の男たちが、象のそれぞれが異なる部位を触ったところ、象が壁、蛇、樹、扇、ロープのようであると主張し、意見が対立しました。
一人ひとりの意見は間違っていませんが、多様な視点からの意見や知恵を共有しなければ全体像は把握できないのです。複雑化し、予測困難な現代の社会課題を把握する作業と似ています。

フューチャーセンターは全国で確実に広がり始めています。
何度もお伝えしているとおり、現在の社会課題は複雑化し、さらに新たな課題を突き付けてきます。現状維持、前例踏襲の考え方は、非常に危険です。
私たちは、多様なステークホルダーの創造的な対話により、知的弾力性を紡ぎ出す必要があると考えています。そして、多様な主体が対話による価値を創造する場こそ「フューチャーセンター」なのです。
私たちの願いは、フューチャーセンターが社会に役立つものとして、誰もが未来を語れる場として、三重県に根付く事です。未来に向かって新たな行動を起こす時です。
企業やNPO、地域に活力があるうちに、地域を持続するための新たな仕組みを模索頂きたいと思います。

最後になりましたが、本研究にあたっては池山座長をはじめ、研究員の皆様に大変お世話になりました。「フューチャーセンター」という聞きなれない仕組みであったにもかかわらず、貴重なお時間を頂き、熱心にご議論いただきました。この研究会そのものが、フューチャーセンターの要素を持つものでした。
また、玉城町総合戦略課、鳥羽市議会の皆さまをはじめ、実に多くの方々にもご協力を頂きました。すべての皆様に感謝申し上げます。

ありがとうございました。

主任研究員 栗田 英俊

 

フューチャーセンター研究

2018年3月11日(日)『東海若手起業塾10周年記念イベント Tokai Innovators Ecosystem Summit for 2027 ~若者のチャレンジが続々と生まれる生態系を育むために~』に参加してきました。

ここ数年、「ソーシャルビジネス」や「ソーシャルデザイン」という言葉を聞く機会が増えてきました。
しかし、若者がビジネスを成長させるためには、経験や人的ネットワークが不足しがちです。「東海若手起業塾」は、若手起業家を対象に、経営者としての考え方やビジネスモデルを共に考え、支援を行うプログラムを実施しています。名を連ねる支援者を見れば、その活動に関心を示すのは企業家のみに限らないことが分かるはずです。
とりわけ、ブラザー工業株式会社の協力は大きく、プロボノとしてビジネスの中で培われた経験を企業家の支援に活かしています。企業が地域や若者を大切に考えてくださるのは、本当にありがたいことであり、10年という期間、継続的に関わってこられた姿に、本気度を見ることができました。

イベントには、NPO、自治体、学生など様々な肩書を持った人が参加していました。私が感動したのは、東海若手起業塾のスタッフの方々が、「人と人を繋ぐ」ことを意識されていた事です。実際、私も多くの人と引き合わせていただきました。
私は「イノベーションには事務局力も重要だ」と考えており、あるべき姿を見ることができました。

今回、私はNPO法人静岡フューチャーセンター・サポートネットESUNE 代表理事 天野 浩史 氏 の活動に興味を持って参加していました。静岡県には現在、11か所にフューチャーセンターが存在し、年間60回以上のセッションが行われています。

有名な話ですが、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏は論文『雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか』の中で「今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」と伝えています。
また、米デューク大学の研究者、キャシー・デビッドソン氏は、2011年ニューヨークタイムズ紙のインタビューに「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と語ったといいます。(文部科学省提出資料(2015年2月17日)を参考)
つまり、現状維持は不可能ということです。新たなアイデアで価値を創造する時代だということを、受け入れなければなりません。

フューチャーセンターの機能には「未来思考」「多様性」「対話」「価値創造」などのキーワードが含まれます。そこには、新たな時代への成功の秘訣が隠されているのではないでしょうか。
当センター「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」での成果を、「NPO法人静岡フューチャーセンター・サポートネットESUNE」と意見交換を行うことで、東海地域でイノベーションを加速させる仕組みの一助とできれば、地域の持続に貢献できるのではないかと思います。

(主任研究員 栗田)

フューチャーセンター研究

2018年3月3日(土)玉城町で開催された「第2回 玄甲舎利活用100人委員会」を見学させていただきました。

まちの重要な文化財である玄甲舎を、まちのために活用するにはどうすればいいのか。これまで350人の町民がワークショップに参加し、意見交換を行ってきました。
特出すべき特徴は、無作為抽出による住民参加のプロセスを含んでいる事です。その内容は、機関紙「地方自治みえ2月号」で詳しく取り上げています。
これまでのステークホルダー(いわゆる「いつものメンバー」)に、全く新しい人が参加することは、ハードルが高いことと思われがちでした。今回、玉城町の行った住民参加プロセスでは、参加者以外にも多くの“関係者”を創ることに成功した事例だと思います。

次のステップとして、ワークショップで得られた「住民の声」がまちづくりにどのように反映されていくか、見届ける必要がありそうです。
また、ワークショップ形式を選択したことで、住民にどのような変化がみられたのかも、合せて興味深いところです。
玉城町での住民参加が良きモデルとなれば、県内での「住民参加」も進むのではないでしょうか。

最後になりましたが、玉城町には「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」でも大変お世話になりました。玄甲舎を中心に、さらに良きまちづくりが進ことを願っています。ありがとうございました。

(主任研究員 栗田)

フューチャーセンター研究

2018年3月5日(月) 株式会社中部システムセンター 代表取締役社長 田中裕嗣 氏と、フューチャーセンターについて意見交換をさせていただきました。

オフィスから「働き方」を考えることで、地域の生活向上を願っています。そのための取り組みとして、「働き方改革」や「子育て」について、実際に取り組みを行っています。
オフィスの一部を開放し、地域の声を聴く場を持つ、その様子は、三重県でフューチャーセンター実装による可能性を示してくれています。

地域、お客さま、社員の未来を考えた活動のできる企業が評価され、多様なセクターのハブ機能としてフューチャーセンターが活用される時代は、三重県でもそんなに遠い未来ではないようです。
願わくば、フューチャーセンターに可能性を見いだせる多くの方が、この場に集いますように。

(主任研究員 栗田)

セミナー 講演会 シンポジウム,フューチャーセンター研究

2018年2月10日(土)『U-29ブレスト会議「ミエミライ・座談会」』に参加しました。若者たち(18歳~29歳)が過去3回のアイデア創出ワークショップで出した、182ものアイデアを振り返りながら、ミエのミライについて考える機会として設けられた回で、年齢問わず参加が可能でした。

過去3回のテーマは次のとおりです。
①「男女の活躍とワークライフバランス」~U-29の〝仕事と家庭〟観~
②「カルチャーと心の豊かさ」~U-29の〝居場所(サードプレイス)〟~
③「非営利活動と持続可能性」~U-29の〝お金にならなくても必要なこと〟~

主催は、「コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社」と「特定非営利活動法人Mブリッジ」で、三重県の協力を得て開催された事業でした。
また、ファシリテーターは当センター「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」でもお世話になっている、米山 哲司氏(NPO法人Mブリッジ代表理事/キャリアコンサルタント)です。
企業が若者のために主催しNPOがコーディネートする、とても居心地の良い空間でした。今回のテーマは、「若者(私)と社会を【しあわせ】でつなぐ」というものでした。
参加者も多様であり、若者、自治体職員、NPOなどから多くの方が参加されており、良い交流が持てました。ワークショップでは、若者のアイデアに感心したり驚いたりと良い刺激を頂きました。
今、若者たちが何を考え、それを見た人たちがどう捉えるか、そんなことを感じることができる場でした。

さて、「コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社」がなぜこのような事業を行うのでしょうか。それは地域を考え、飲料水で幸せを演出する役割を担うという素敵な理由でした。このような企業が社会で愛され、残っていくのだろうと思うのです。

(主任研究員  栗田)

フューチャーセンター研究

2018年2月8日(木) フューチャーセンターの視察を行いました。

名城大学「社会連携ゾーンshake」は、受付もなく誰もがふらっと入れる施設でした。人が集まる場を創出するために必要な配慮であると思います。
設置目的は、ホームページによると「地域コミュニティ、企業、大学などの交流・活動拠点として、在学生、卒業生、教職員だけでなく、地域、行政、企業など多様な人々が年齢や職業を超えてフラットに交流することで、集・学・創が共有できるもう1つの学びの場を目指しています。」(https://www.meijo-u.ac.jp/social/shake/)としています。
設備もすぐに対話へと導くものがそろっています。机の天板がホワイトボードになっており、直接書き込むことができます。30個のブロックを椅子にし、空間を自由にアレンジできます。この日は、3組が打ち合わせやワークショップを行っていました。
定期的に「名古屋フューチャーセンター」の事業が行われるそうで、企業の勉強会も行われます。施設の工夫もありますが、有効に活用されていることが素晴らしく、「多様性のある人が集まる空間」であり、イノベーションの期待が持てる施設でした。

次に、株式会社岡村製作所の「オープン イノベーション ビオトープ Cue(キュー)」を訪れました。岡村製作所はオフィス家具のメーカーであり、企業がフューチャーセンターを活用する意義を知るための訪問です。
設置目的をホームページでは、「社内外のステークホルダーの方々とこれからの「はたらく」を共創し、その知見を「ものづくりの地」である名古屋から発信していくことを目的として、定期的にイベントを開催します。新たな働き方をさまざまな分野の方々と共創し、社会へ発信していきます。」(http://workmill.jp/cue/)としています。
お客様の声を聞くなかで、「ツナガリ」がキーワードとしてあがったそうです。そこで共創空間のひとつとして「Cue」を設置したそうです。これは、即時利益に繋がる仕組みではありません。しかし、「ツナガリ」「シゲキ」「ヒラメキ」を大切に考え、社内外で活用されています。
「新しい発想と取り入れる」という感覚でも「即時利益に繋がる仕組みでなければならない」といった発想でもなく、「必要だから設置している」という考え方でした。企業型フューチャーセンターにはクローズのものも多く、情報を集めることは困難な場合があります。岡村製作所のような、一般の人も加わることができるフューチャーセンターの活用事例を、もう少し検証する必要がありそうです。

人が集まり、自由に対話ができ、それを促す「場」として考えられた施設は有効です。しかし、コストがかかるのも事実であり、三重県では「新たに作る」というより、まずは「今ある場に加える」といった考え方が必要だと思います。大切なのは施設そのものではなく、そこで何をするかであり、まず、人が集まることを考える事が肝要だと感じます。
「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」では、施設についてや設置場所、どこに人が集まっているかの調査は行っていませんが、研究会とは別視点での調査として有効であると思います。

(主任研究員 栗田)

フューチャーセンター研究

「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」では、鳥羽市議会「TOBAミライトーク」の仕組みがフューチャーセンターの考え方に近いため、事例検証として記録を取らせていただきました。皇學館大学の池山敦助教(「フューチャーセンターの社会実装に関する研究」研究会座長)と共に、2017年4月から約半年同行させていただきました。

結果、TOBAミライトークは、広聴の仕組みとして非常に素晴らしく、議会がフューチャーセンターの要素を取り入れることは極めて有効であることが分かってきました。

「早稲田大学マニフェスト研究所議会改革度調査2016」によると、議会報告会の充実のための仕組みにグループワークを取り入れている議会は13%です。また、外部サポート体制の有無について聞いた質問では92%がなしと回答しています。今回の事業は、議会と大学、当センターのような研究機関が連携した記録になり、外部との連携がみられたといえます。

2018年2月9日(金)、当センター理事長と鳥羽市議会を訪れ、議長、広報広聴委員長に、TOBAミライトークの記録と評価の報告をさせていただくと共にお礼申し上げました。
半年間、フューチャーセンターの可能性について学ぶべきことが非常に多かったです。TOBAミライトークには、鳥羽市の明るい未来を感じます。ぜひ継続していただければと願います。鳥羽市議会の皆さま、半年間、様々な面でご協力いただきありがとうございました。

(主任研究員 栗田)

セミナー 講演会 シンポジウム,フューチャーセンター研究

2018年1月19日(金)「公契約条例制定をめざす推進協議会」主催の「公契約条例に関する学習会 ―先進市に学ぶ公契約条例―」に参加しました。三重県内での公契約条例は、四日市市公契約条例(平成26年10月6日)に続き、津市が制定をめざしています。

講師の多摩市役所総務部総務契約課 森課長から制定までの歩みと概要についてお話しいただきました。
まず、公契約条例の意義は賃金など労働環境を確保することで、『労働者の生活と安全』『事業者の適正な競争による経営の安定』『市民の安全かつ良質なサービスの享受』を守ることにあります。
多摩市では2010年に調査検討委員会を副市長、部長級で構成し、検討部会には労働組合からも参加しており、労使連携が図られていました。外部に審査委員会を設置し、弁護士や労働者団体、事業者代表が参加しています。
2016年のアンケート調査で、事業者の「公契約条例に対する理解度」は95%であり、「適正な労働条件の確保・労働者の生活の安定に結びつく成果」に「成果があった」「今後あると考える」との回答が67%でした。
多摩市職員全員が公契約条例の意義について理解し、事業主が担当課と意見交換する機会を持ち、外部からの参加者で審査委員会を設置していることで、住民を含めた自治体全体で意識を高めていったことが、良い条例の制定に繋がっていると思います。

「多様性のある対話」から始め、全員で考えていくことが必要であり、政策立案までの過程が評価される自治体であってほしいと思います。
そして、自治体が「対話」を望むとき、フューチャーセンターのような仕組みはやはり必要なのだと感じます。

(主任研究員 栗田)

フューチャーセンター研究

中間支援的組織にフューチャーセンターを実装することで、どのような効果が得られ、どのような課題があるのか。ヒアリング及び意見交換を行いました。
特に日本商工会議所青年部政策提言委員会の皆さまとの意見交換では、中小企業が直面する「国の政策と現実の相違」について、直接お話を伺える貴重な機会となりました。
ヒアリング及び意見交換の内容については、2017年度中に研究結果としてご報告いたします。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

1 NPOにおける対話と連携
日 時 2017年9月22日(金)
訪問先 みえ市民活動ボランティアセンター センター長

2 市民社会の「政策協働」「政策対話」
日 時 2017年10月10日(火)
訪問先 四日市大学 教授 松井 真理子 氏 (NPO法人市民社会研究所代表理事)

3 NPOと企業の協働事業について
日 時 2017年10月18日(水)
訪問先 特定非営利活動法人Mブリッジ

4 日本商工会議所青年部政策提言委員会との意見交換会
日 時 2017年10月20日(金)
来訪者 日本商工会議所青年部政策提言委員会

(主任研究員 栗田)

 

フューチャーセンター研究

2017年9月26日(火)信州フューチャーセンター(長野県上伊那郡辰野町)を視察させて頂きました。
「全国フューチャーセンター実態調査」にご協力いただいた団体の中でも、非常に興味深いケースであり、実際に観ておく必要がありました。
辰野町は人口約19,300人、面積169.20㎢のまちです。そのまちにある新聞販売店がお客さまとの関係性を考え、地域にしっかりと目を向けた時からすべてが始まりました。
それから16年、コミュニティづくりを進め、「自立した地域の出現」を目指し、様々な活動を行っています。そして2016年10月にフューチャーセンターの設立に至っています。

さて、信州フューチャーセンターをインターネットで検索すると、まず壁に描かれた不思議な樹のような絵が目を引きます。これは、地域の人たちが持ち寄った「廃材」で創られています。
実際に施設に入ってみると、予想以上に素敵で、どこを見てもワクワクする空間でした。「非日常の演出」「イノベーションが起こりそうな空間」とはこういうものかと、興味津々であちこち見せていただきました。

新聞販売店の未来を想い、地域に愛されるためにを考え、20年近い時間をかけてこられた活動は、今必要な地域コミュニティを形成し始めています。その拠点として、ただフューチャーセンターがあるのだと教えていただきました。
やはり、必要なのは場所ではなく、空間なのでしょう。その空間で何を目指し、何を行うか。フューチャーセンターの本質の一端に触れることができたように感じます。

仕組みづくりにおいては重要とされていませんが、やはり人柄はみてしまいます。今回ご対応いただいた方は、本当に素敵な方々でした。ありがとうございました。

信州フューチャーセンター

(主任研究員 栗田)