中勢会場の概要 2
日時 平成13年10月21日(日)午後1時30分〜4時30分
於 三重県総合文化センター
第2部 パネルディスカッション
《コーディネーターより情報提供──宮本 忠氏》
○ アンケートでは、90%以上の人がとにかく合併は必要ではないかと答えている。三重県においては合併問題の意識が高い。関心を持っている人が多いと思う。
○ 一方で、不安、疑問というものがアンケートに現れている。合併は必要だけれども、しかし大きなクエスチョンマークがあるというのが、集約された意見ではないか。
○ 講師やシンポジウムのやり方に対する提言として、1将来に希望の持てる議論をして欲しい。2具体的な議論をして欲しい。3やさしく話して欲しい。
《パネリスト意見──伊藤登代子氏》
○ 住民の立場から―─住民にもっと情報を与えて欲しい。市民になかなか浸透していない。
○ NPOの立場から―─合併するにあたってNPOの力は大切である。行政にはNPOを育てていくという目を是非持ってもらいたい。本当の意味での協働をしたい。
○ 女性の立場から―─県内には女性議員がひとりもいない地域が3分の1もあるが、もっと出にくくなる。女性の意見を反映するためにも、議員定数に一定の定数だけ女性議員を割り当てるクォーター制を導入していただきたい。
《パネリスト意見──松嵜博司氏》
○ 各市町村が足並みを揃えるために、積極的に提言し、パイプ的な役割ができたらと思っている。
○ 近隣としては、吸収合併に近いものを感じるという意見もあり、県都として志を同じくし、大きい中核都市、特例市をめざして欲しいと思っている。
○ するしないがわからない状況では議論自体ができない。合併したときにどうなるというものを、数字なりに落とし込んで、わかりやすくしていただきたい。
《パネリスト意見──藤田雅子氏》
○ 市町村合併推進要綱で田舎からまちに矢印が向いて、こちらにはこないというのが非常に嫌である。
○ その土地の人がその土地にいながら、その土地のサービスを受けられるかということが大事である。その辺が希薄になるのではという不安がある。小さくても豊かな地域づくりはできるのではないか。
○ 本当の長期、100年くらい先にどういう風景が広がっているかということを見据えて、今、合併するのかそうでないのかも含めて考えるべきである。
《意見交換──パネリストから講師への質問等》
(伊藤)合併で議員や職員を減らしても、住民サービスや民主主義は大丈夫か?
(阪上)そこに住んでいる方がどれだけ意識を持って、行政や政治に参画し、自分の声で訴えていくかにかかっている。規模が大きくなるとすぐさま住民の声を切り捨てるということにはならない。
(伊藤)広域連合とか一部事務組合で規模の問題をクリアできないのか?
(早川)広域連合などでも規模の利益を得ることができている。広域的な目を持ってまちづくりを進めていく必要性はますます高くなってきているが、即合併とはつながっていない。
(松嵜)住民主体で進めるにはどういうかたちを展開すべきか? 合併前後の税金格差、住民負担はどうなるか?
(阪上)住民協議会を立ち上げるまでのプロセスが大事であり、住民の意思を吸い上げたかたちで住民協議会を立ち上げ、合併に入る必要がある。合併にあたっては、一般に負担の低い方に合わせるのが一般的なやり方であり、負担が増えるということにはならない。
(藤田)コラボレーションを日本でやっていくにはどういう手法が考えられるか?
(早川)行政はまず、情報公開を徹底する。それから市民参加のまちづくりで大きく変わっていく。地方分権、自分のことは自分で決めること、そのための財源、権限が必要になる。そういうものがトータルに作用するためには、目に見えるような関係が必要である。組織が大きくなると官僚化を避けることが非常に難しくなる。住民の自立ということと自治体のサービスの向上は矛盾してなくて、同時に同じものとして追求していかなければならないと思う。
《意見交換──会場からの意見・質問への対応等》
Q.中核都市または政令都市あるいは50万都市の必要性について、県都である津市の立場で考えたときにはどうか?
(阪上)特例法が生きている時期に、30万なり50万とまとまった規模の県都としての中心都市をめざすべきではないか。規模も大きくなれば予算規模も大きくなり、事業も多面的な展開ができる。
Q.少子高齢化、地方交付税の見直しが進むなかで、地方自治体の財政危機への対策はあるのか?
(早川)本当に自治体が財源を与えられ責任を持たざるを得なければ、コスト意識が働く。財政危機のためには、今こそ自治体に財源を移委譲すべきである。
少子高齢化が進む過疎地域では、合併がますます少子高齢化を推し進めるのは確実である。支所、郵便局、農協などが消え、若い人のUターンで地域社会を支えてきたダムを崩壊させてしまう。また、少子化問題は、合併とは別で、独自の施策の問題だ。
(会場意見)合併に賛成であるが、合併にかかわらず住民がまちづくりにかかわっていくにはどのようなことが必要か。その反面、地区、コミュニティを重視する点が必要であると感じられた。
Q.地方分権と市町村合併の関係は?
(早川)地方分権が本物であればこんな合併はすべきでない。国や県がやることは合併の障害を取り除くだけでよい。
(阪上)今のままでいくと地方の財政破綻が次々と起こる危険性がある。それくらい今、日本の地方財政というのは追いつめられている。
Q.合併した場合に交通アクセスとしては機能が不十分では?
(阪上)こういった問題も一つの地域のなかで考えていかなければならない。一つの村では財政面からも維持していけない。
(早川)心のアクセスの方が大事だと思う。俺たちの自治体なんだという意識が持てるか、それがなければ積極的な参加はない。行政と住民の政治的な距離こそが問題である。
Q.一番近くにいて欲しい自治体が大きくなるということに対して考えを聞きたい
(早川)合併によって行政区域や人口が大きくなると、@自治の主体である住民がどうしても人任せになりがちである。A行政と住民の距離が遠くなる(行政組織が官僚化されやすい。議員定数が減り住民の声が反映されにくくなる。自分たちのまちだという政治的な距離が非常に遠くなる。)。B大きいところから見た美杉地区というのは、小さな地区の小さな問題になってしまい、住民の声が無視される問題を根本的に抱えている。
合併すれば過疎が進む、過疎に拍車がかかる。私は、地方交付税というものが今後も必要であると確信を持っている。
(近藤市長)早川先生に。何も大きくすることが良いことではないと私も思うが、岡山の例は、類似都市との比較を10年程度の結果で、100年の計である都市計画で比較したのは適切ではないと思う。合併しなかったときの数字と比較して説得された方が良い。
阪上先生に。合併したときの住民負担が低い方によりがちだというのは、ミスリードである。全部のサービスをいい方に寄せていったら大変だと思う。
効率的・効果的な行政をやっていくためには、職員のことも考えていかなければならない。
伊藤さんに。十分に情報発信していたが、十分気をつけて明日からでももっと出していく。
(早川)岡山の例は、市民に約束しされた20年後の検証であり、何によって市民福祉の目標が下回ったのかを説明したつもりである。
(阪上)住民負担の問題はご指摘のとおりである。また、職員については、当然合理化が行われていくが、ただいきなりリストラされる訳ではないということをお話しした。
私は世田谷に住んでいたが、スケールのメリットを生かしたサービスができている。規模が大きくなれば住民とコミュニティがなくなり、住民と役所の距離が遠くなるとは一概には言えない。住民がどういう形でかかわるか、その住民にかかっていると言うことを指摘したい。
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