三泗会場の概要 2

日時 平成13年12月8日(日)午後1時30分〜4時30分
於 四日市あさけプラザ


第2部 パネルディスカッション
《コーディネーターより情報提供──竹下 譲氏》
○ 今、日本の財政状況というのは非常に厳しく、小泉内閣は構造改革ということで借金を30兆円に抑えようとしているが、収入が50兆円にもかかわらず30兆円の借金をしようとしている。現在、借金がたまって700兆円近くなっている。こんな状況で、地方の面倒が見づらくなっている。地方は自活する力を付けるために、その手段の1つとして合併を考えなければならない、というのが渡辺先生の話である。しかも、議論をする際には、住民も加わって、懸命になって議論すべきというものである。
○ これに対し、四日市市とその周辺とについては、一般論と少し違う現象が起きている。四日市は想像していたよりも元気がない。四日市地域が繁栄していくためには、四日市港が重要であり、どう活用するかにかかっている。そこで、四日市港をコントロールする方法を考えなければいけないが、そのためにも人口を大きくして権限を大きくしようというのが、鈴鹿市との合併話の根拠であろう。
○ ただし、権限を大きくしようと人口規模を大きくしようとすると、早川先生の講演のように、住民が離れていくということにどう対処するかを考えなければならない。
○ 四日市と鈴鹿市の合併は、地元から起こってきた、あるいは国や県の想像を超えた合併話であると思うが、まず、地域パネリストから、その辺りの意見を聞きたい。

《パネリスト意見──矢野晶久氏》
○ 四日市と鈴鹿との合併は、JCとしても頭の中にはなかった。ただ、鈴鹿との合併は夢のある話だと思う。1市4町で考えてきたのは「守り」の発想であり、それぞれのまちではやっていけない、困るからという発想であった。鈴鹿と四日市の合併は、これより飛躍した「攻撃的な」発想であり、より大きな幸福をめざすもの、将来に向けていろんな可能性を秘めたものである。まだまだ話ができる段階ではないが、個人的には面白いと思う。
○ 四日市港との関係でも、実際には国からのしがらみもあり、課題を打破するためにも、大きなまちの中での四日市港であればと思う。鈴鹿は国際都市であり、両市のためにもいい話なのではないか。夢のある話として、形としていくことをめざすべきである。

《パネリスト意見──諸岡稲造氏》
○ 菰野町は、昭和の大合併時の倍の3万9千人の人口になっている。四日市市と三重郡4町とを比べると、公共料金などいろんな面で格差がある。そういう面から、区長会として発言するなら、住民本位の合併でなければならないと言いたい。四日市、鈴鹿との合併、員弁との合併など、いろいろな話があるが、勉強していかなければと思う。
○ 三泗鈴亀の農業共済組合が合併し、末端ではいろいろな弊害もある。しかし、弊害というのはあるもので、それをメリットに変えていくのも、我々が議論すべきことだと思う。四日市と鈴鹿の合併で、菰野はどうするべきか、朝日、川越はどうすべきか、住民、議員、町職員とも十分に勉強しながら考えていかなければならない。


《意見交換──会場からの意見・質問への対応等》
Q.四日市と鈴鹿の合併ができる見通しは?
(渡辺)できるかできないかではなく、現状あるいは危機感についての共通認識を持てば、どういう方向に進むべきかがはっきりしてくるだろう。
   (四日市港のことについてひと言)四日市港管理組合の管理者は、県知事と市長とが2年交代であり、議員も県議会から当地に認識を持たない人が来て、政策提言能力には疑問を持つ。また、市役所の中では、港湾の経営能力は十分でなく、県頼みである。名古屋港管理組合には、プロパーの職員が百数十人おり、知識の積み重ねがある。神戸やシンガポールなど、優れた港づくりはそういうものである。国からのしがらみというよりも、そういう認識や市民の関心が足らないから、港がうまくいかないのである。
Q.合併によって政令市になっている広島や仙台の場合に、岡山と同じ状況になるのか?
(早川)調査していないので分からないが、人口や行政区域が拡大すると、共同体意識が希薄になるのは一般化しうる問題だと思う。
Q.矢祭町は交付税に頼っており、自分たちだけ良ければ良いという人の典型ではないか? 財政面から考えれば一体どうなるのか?
(早川)現在の税制では、国税が6割、地方税が4割であるが、実際の仕事は逆で4:6である。地方の経費に合わせて財源を配分しないと、中央に財政が集中していては依存せざるを得ない。必要な生活サービスを受けられるよう保障しているのであり、国の政策として、国土、国民を守るためには、均等化していくシステムは必要である。
自治体が努力して浮かせた財源は、福祉などに使えるのではないかとお考えだろうが、結局は国に持っていかれるのではないだろうか。合併については、国からの押しつけでなく、日常的な論議の中で出てきた話であれば、すばらしいと思う。国全体の財政再建のためにも、地方に財源を移譲すべきということである。しかし、合併特例債は国にも自治体にも負担になる。
(竹下)都民の発想は、自分たちのお金が地方に流れているという意識がある。東京都も借金をしているので、少しでも東京に返してくれればという議論があることを補足したい。
Q.川越町のように裕福なところは合併を考えなくても良いのか? 独自路線でよいのか?
(矢野)朝日町民の立場で言えば、30〜40年前は朝日町も裕福であった。しかし、今が裕福でも、30年後のまちがどうなっているのかを考えなければならない。確かに、今の川越町には合併気運がないが、それは仕方のないことだろう。ただし、このままいけるとも思っていない。菰野町民も同感だろう。このまま、朝日町がどこかに合併して、川越町が残るのは寂しい思いがする。川越町に住む友人もそう言う。今の財政状況とは別に、20〜30年後のまちづくりに向けてどうすべきか意見交換し、行政を進めてもらえばと思う。


Q.(四日市市に対し)なぜ、合併に菰野町を誘うのか? 菰野町は自然豊かで、四日市の桜、小山田、水沢地区のように団地ができ、ごみが捨てられては困る。
(井上四日市市長)今回の合併論は、地方が自活すべきというところから来ていると言えるが、もう1つ、まちづくりが、従来の考え方では間違うかもしれないという問題に来ており、合併を契機に新しいまちづくりができるのではないかと思った。そういう意味で、「攻撃的合併」という言葉が印象に残った。
四日市港をどう活用するかは大きな問題である。四日市港の恩恵は、四日市港だけが受けるものでもない。今、四日市港は注目されているが、経済的背景地が大きくないと機能しない。市民に親しみを、という点でももう一皮むけないといけない。
(服部菰野町長)当初は単独で市制をめざしてきたが、北勢地域が1つになるような大きな合併の進むなかでは、その中に入っていくのがベターであると考えている。北勢が1つになろうというムードになればすばらしい。木曽岬町も参加しやすくなるだろう。これまでも、三泗鈴亀という形で、三重郡4町に関町を入れた5町で、いろいろ取り組んでいる。機構改革のなかで、合併を検討するセクションを設けたいと考えている。
(堀木楠町長)今の町の財政力は、かつての3分の1になっている。特例法の段階で合併を進めていかないと、住民の利益にはならないだろうと思う。審査会も立ち上げようと考えている。楠町は合併しないと難しい状況である。どうしてもしなければならないと信念を固めている。
(山田川越町長)川越町の財政力は県下、国内でも上位であるが、三泗鈴亀という大きな合併論であれば、将来は考えなければならない。議会等においては、勉強会は必要であるが、平成17年までの合併については考えは持っていない。
(栗田朝日町助役)朝日町はどちらかというと合併推進ととられるが、やはり、6,000人の人口で生き残れるかという議論であり、財政が問題である。周辺都市と一緒になって、新しい都市づくりを考えていくことが大切というのが町長の言葉である。早川先生の話のように、大きくなると声は届きにくくなる。住民が責任を持つという認識が出てこないといけない。7つの自治会で判断できる地域づくりが求められるだろう。

(竹下)自治意識の希薄化への解決法についての質問が多いが、住民参加のしくみとセットで考えなければならない。区長会や自治会の活用ということになるが、三重県の自治会は制約がきつすぎるように思う。なかなかものが言えない雰囲気がある。そのあたりも含めて、合併を決定する際にも、住民の意向を聞き、情報公開も必要である。発言しにくい者の意向のくみ取りも含めて、住民参加を考えていかないといけない。



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