熊野会場の概要 2
日時 平成13年10月13日(土)午後1時30分〜4時30分
於 三重県熊野庁舎
第2部 パネルディスカッション
《パネリスト意見──田尾友児氏》
○ これまで商工会青年部やPTA連合会等の活動で、多くの方と知り合い交流をしてきた。ここ熊野市は実際の地元ではないが、私は地元として思っているくらいなので、県が提案している市町村合併のパターンはごく自然で、今すぐにでも合併してもいいじゃないかと思う。しかし私にとって、もっと力をいれて合併運動を行いたいのは、県境を超えた新宮市である。私たち紀宝町の住民にとっては新宮市は切っても切れない存在で、歴史・文化を共有し生活をする上においても、仕事をして行く上においても大切な所である。鵜殿村や紀宝町は新宮の人達のベッドタウンとして移り住んでいる人が多い為、出来れば新宮と合併したいと思っている人が多いのも事実である。私は紀宝、鵜殿だけが新宮と合併すればいいのではなく、将来の地方分権を考えた時10万人の人口を満たしていないと成り立たないし力も出せない、かといって紀南と紀北が合併するのは生活圏も違うだろう。もし新宮市との間に県境がなかったら、この県が考えたパターンは全然違っていたと思う。こんなに近くにあって、生活するには何の問題もない所なのに県が違うというだけで行政や議会が前向きにならないのであれば我々住民にとってこんなに不幸な事はない。どちらの県につくかという事ではなくまずこの地域が一つになる事が地域浮上のきっかけにもなるし熊野をPRするにも一体となってできるのでメリットが大きいと思う。このまま合併しないで国からの補助金がカットされて地方自治体が維持できなくなるよりも、早く合併して今後の事を考える方が町の為になると思う。
《パネリスト意見──北野雅章氏》
○ 私は介護保険の認定委員をさせていただいているが、介護の種類の中にある訪問リハビリテーション等について、この地域ではそのようなサービスがない。この地域でどうしてないのかというと、やはりそれぞれの地域で専門職の方を雇う余力がない。市町村合併をすることによって市が大きくなると、それだけの専門職の方を雇える余裕が出てくるという話も聞いた。また、市役所などで、一つの仕事を一人がしているので、その人が転勤になってしまうと異動してしばらくは何も分からない状態になってしまうという話を聞いた。それもやはり単位が小さいからではないか。市町村合併をすることによって3人とか2人とかつける事が出来るようになれば変わるだろう。そのような点から、市町村合併というの必要なのかなと思う。
○ ただ今まで先生方のお話を聞いていて、とりあえず市町村合併をするのではなく、初めにきっちりしたものをつくって市町村合併の道へと進んで行かないと、後で修復して行くのが大変じゃないかと思った。
《意見交換──会場からの意見・質問への対応等》
Q.合併による合理化がサービスの低下につながり、そして地域の切り捨てにならないだろうか?
(渡辺)その点そういう事であってはならない。例えば5つの市町村でやってきた重複投資が合理化されるわけだから一括してやればよい。そこでそれぞれの狭域な地域に必要な行政サービスの為に専門職員を配置出来るという余地が生まれるので、そうなればサービスの低下にはならない。合併したらそういう事を再構成していく必要がある。そういう指針がしっかり出されていく必要があるだろう。
(岩崎)そこは先ほど言った建設計画で担保出来るかという事だろう。ただし、住民が全てのサービスを行政に求めているという考えをもう一度見直すという観点を計画の中に持っておいてもらいたい。また、私たちの地域はこういうサービスをやりますよというサービス水準を示す事が大切なのではないか。ただそれを2005年3月までにしっかり決めて地域振興の施設建設の起債事業も全部決める、というところまでは厳しいかもしれない
Q.合併せずこのまま続くとこれが住民のサービスの低下につながるのでは?
(渡辺)必要なサービスをどのように確保するかという事の為に、こういう事はこの地域ではしないという分担を考えたら、これは解決されると思う。
(岩崎)三重県内ではあまりないが、ものすごい山の中などでは、合併できない町というのも存在する。このような所は今後どうなっていくのかと考えると、私は仕事をしない自治体が出来てくるのではないかと思う。つまり、基本的な仕事はすべて県や近隣市町村に委託をする。これは直接の質問の解答にはなっていないが、やはり山間地域でも、日本国民としてサービス水準の最低限があるわけだし、それに三重県民として受けるべき最低水準もある。それをどの責任範囲で供給するかといえば日本国民としてのサービス水準の最低限はかなり確保されているから、三重県民としてサービス水準、そしてその村でのサービス水準という形を考えた時に、それが満たされない時やはり三重県民として県が下支えする、その為にはその地域の自治体は仕事をせず県に委託してしまうということになるのだなと真剣に考えている。
Q.交流拠点施設が断念されたが、?
プロジェクトのメンバーである北野氏から、交流拠点断念後の活動を説明。
(北野)もともとは交流拠点構想があるうちに紀南クリエイトチームというのは作られたが、健康について・スポーツについて・文化、歴史、産業について、3つのグループに分かれて、それぞれ、地域の人が健康に過ごせる為にはどういうものが必要かなどを話し合い、その場で不足しているものを交流拠点構想の中に入れていこうとしたのが紀南クリエイトチームであった。しかしPFI方式のそれが断念されたことによって、今度は今まで話し合ってきたなかで必要なものはなんであったかを交流拠点構想なしに考えている。例えば健康について考え、ここら辺にない温水プールとリハビリセンターを複合した施設がこの地域に必要なのではないかと話している。交流拠点構想の代わりというか、こういうものがないと今後この地域は寂れていくので、この地域の活性化を図るために今活動している。我々の作った3つのチームがそれぞれ5市町村を回って住民の方への説明会を一応終えたところである。
《その他意見》
(参加者)私は熊野市、御浜町、紀和町、紀宝町の4町村をまたぐフリーデイサイクルというプロの自転車レースをやっている。2年と3ヶ月半になるが、市町村が1本化されれば非常にやりやすいし、もっといい動きができるのではないかと思う。また、職業は消防士で、消防というのはすでに平成10年からもう合併をしたようになっており、確実にこの地域の消防はよくなったと言える。そいうこともあって合併はいい。
先ほども岩崎先生の話のなかに合併特例債などのことが出ていたが、エサがぶら下がっているのにわざわざ見ないふりをするのは良くない。どうせ合併するのであれば、エサがあるうちにやればきっとエサを使って一段階ステップアップできるわけだし、エサがなければせっかく合併してもお金がなくて何も出来ないという議論が出てくるのではないか。だから今がんばってエサがあるうちにやればいいと思う。
ただし、合併となると合理化され、例えば市役所は1つになって、学校なんかも統合して1つにできる。そうすると必然的に職場というものが減ってくるのではないか。公務員はそんなに沢山いらないという意見もあるかも知れないが、自分たちの子ども、孫が就職する時に雇ってくれる働く場所は沢山あるべきだと思う。そういうものが減らないか心配であり、こういう時にこそぶら下げられたエサで、例えば企業誘致をして働く場所をつくるべきだとか、そういった議論されるべきではないか。
(参加者)紀南障害者協会に所属しており、この地方に住む11人の聴覚障害者で組織している。私たちも市町村合併について知るため、以前に県の出前トークで話をしにきてもらった。その時は合併の善し悪しではなく、合併がどういう事かという話だったが、パンフレットを持ってきてもらって大変勉強になった。このように、待っているだけでなく、こちらから進んでお願いしてみるという事も大事ではないか。障害者の人たちにはどうしても情報が入りにくくなっている。そのため、私たちは進んで知ろうとした。
また、先ほどの田尾氏の話を聞いて、この地域の手話のアクセントは三重県でも津の方へ行くと通じない事もあるが、和歌山とは通じている。生活範囲も和歌山の方へとなっている。私は合併に賛成も反対も持っていないが、買い物の際、新宮市までは車で20分、尾鷲市までは45〜50分、こういう事も深く考えてみる必要があると思う。
(参加者)紀南県民局の職員。合併を考える際に必要な視点として2点ある。1点は、熊野南部市町村の仕事と名古屋、四日市の仕事の種類と内容は全く一緒であり、量が異なるだけである。私が北の方でやっていた仕事とこちらでしている仕事は一人の人間が抱える内容では同じである。そうなるとこのような小さな地域で働く者の仕事の範囲は段々と広くなっていく。その時、果たして国民の最低レベルの水準を提供出来るかといったら、経験上不安になってくる。
もう1つは、住民が行政サービスを享受する時に、サービスを行う所が熊野市でなければならない、御浜町でなければならない、県でなければならない、ということはなく、一定水準のサービスを与えてくれれば、どこで受けてもいいと思う。県の役割がどこまでなのかあまりはっきり線引きしなくても、県が市町村合併をした市町村と一緒にサービス提供してもいいだろう。
市町村合併の形だけに捕われるのではなくて、行政サービスをどういった所から受けたいのかという事も考えて頂きたいと思う。また、行政だからとか民間だからとかいう線引きがきっちりとあるが、例えば半官半民の人がいて行政も民間も一緒にやりながら労働も賃金もシェアリングしていってはどうか。
うか。
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